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「自律神経」研究の第一人者である順天堂大学の小林弘幸先生。自律神経にとってより良い環境を築くうえで、先生がベストと指摘するスポーツがズバリ「ゴルフ」です。先生いわく、健康はもちろん、美容においてもゴルフが良い影響を与えるそうですがーー。都内でエクササイズスタジオを運営しながら、多様な健康プログラムを開発する平井孝幸さんが探ります。
健康には「体・心・つながり」の3つが大事
平井:企業の健康経営を支える現場でも、最近は“心の健康”への関心がとても高まっています。コロナ禍の影響もありますし、シニア世代の中にも「なんだか毎日が楽しくない」「気分が沈みがち」といった声が多くて…。
小林:それはとても大事な視点です。実は「気分が明るいこと」は、医学的にも非常に重要で、メンタルだけでなく、血圧、血糖値、免疫力、自律神経のバランスにも関わってきます。だから私は、健康の要素として「体・心・つながり」の3つが揃うことが不可欠だと思っています。
そこであらためて提案したいのが、ゴルフ。
ゴルフはこの3つの要素すべてを、自然に整えてくれる稀有な存在です。まず、“体”についてはこれまで話してきた通り。歩く・ひねる・集中することで、全身の機能が整います。そして“心”への効果が、実はもっと深い。
平井:どういった点で、心に良いと言えるのでしょうか?
小林:まず、自然とのふれあいですね。ゴルフ場は基本的に森林や芝生に囲まれていて、視界も広く、空気も澄んでいる。
実は、こうした“自然の中に身を置く”という行為だけで、脳のストレス反応が減ることが分かっています。専門用語で「グリーンエクササイズ」と呼ばれていますが、これが交感神経を落ち着かせてくれる。
しかも、プレー中に仲間と会話したり、笑ったりすることで、さらに自律神経のバランスが整います。“笑う”という行為は、副交感神経を優位にし、免疫細胞の働きを活性化させる。つまり、笑顔は体の中の血流を良くするスイッチなんですよ。