北村匠海の佇まいが大好き 

匠海とは、映画『ブタがいた教室』(2008年公開)で共演しました。ぼくが教師役で匠海が小4くらいだったのかな。 当時も静かな子でした。子供たちは台本がなくて、自由に発言していたのですが、彼は無駄なことを発しないでぽんって言葉を言う。その感じは今も変わっていないし、言ってみればちょっと八木っぽい。少し無駄がないような感じでいて、ふつふつと心の奥底で燃えたぎるものは持っている。その熱さを見せない感じが本当に好きですね。

(『あんぱん』/(c)NHK)

10年くらい前に『ブタがいた教室』の同窓会がありました。当時の匠海は演技より音楽の比重が強いイメージで、これから音楽で食べていくのかなと思っていたら、どっちもちゃんと才能をキープしていて本当にすごいと思っています。その時匠海が、「いつか一緒に芝居ができたらうれしいです」と言ってくれたことを覚えています。

匠海は役を演じるのではなくて、ちゃんとそこに存在しようとしている。フラットで力が抜けていて、それが素晴らしいと思います。嵩を「どういう風に演じよう」ではなくて、そこにあろうとしている。そのスタンス、佇まいが大好きですね。

匠海の持つ静かな感じが嵩役に反映されている。彼の芝居を見ていて感動する部分もありますし、自然と引き込まれていきます。彼はこのままとんでもない俳優になっていくだろうと感じています。一緒に芝居をするときには匠海を支えるような役がいいと思っていたので、『あんぱん』で彼を支えることができて本当にうれしかったですね。