(『あんぱん』/(c)NHK)

 

今田美桜さんがヒロインを務める連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合/毎週月曜~土曜8時ほか)。子どもたちの人気者・アンパンマンを生み出したやなせたかしと、妻・暢の夫婦をモデルとした物語です。<朝田のぶ>を今田さん、<柳井嵩>を北村匠海さんが演じています。出征した嵩が、小倉連隊で出会ったのが妻夫木聡さん演じる上等兵の八木信之介です。大学卒ながら上等兵の試験を受けていない変わり者。軍の中でうまく振る舞えない嵩を気にかけ、陰ながら助けてくれる存在です。意外にも朝ドラ初出演となる妻夫木さん。戦後、嵩と再会し、嵩とのぶの人生に大きな影響を与える八木という役に込めた思いについて、妻夫木さんに聞きました。(取材・文:婦人公論.jp編集部)

嵩の才能を認めている人物

『あんぱん』の台本を読んで、「希望の物語」だと感じていました。世の中を明るくできる、見た方に少しでも生きるということの大切さや人間である意味を伝えられる作品です。「なんのために生まれてきたのか」ということが繰り返し問われますが、その答えはないと思っています。

でも、僕たちはいろんな人の思いを受け継いできて、今生きている。そういう思いを全て、自分が生きているなかで発信していけば、受け取ってくれる人って誰かしらいると思う。そういう希望の話だと思えて、携われることが幸せです。 

朝ドラに出演するのはずっと夢というか目標でしたので、オファーをいただいて率直にうれしかったですね。仕事で米・ロサンゼルスにいるときに、制作統括の倉崎憲さんが「考えているものがあるので」と言ってくださったのが最初でした。その後、アンパンマンを作ったやなせたかしさんと暢さんの物語で、最終的に、のぶと嵩に影響を与えるような役だと説明を受けました。 

いざ台本が上がって読んでみると、八木は嵩を冷静に見つめている人物だと感じました。一見厳しくはありますが、誰よりも嵩の才能や人間性をしっかりと認めている。嵩を陰で支える姿勢にすごく共感できたので、この人物ならば最後までしっかりと一緒に戦っていけると思いました。