自分自身の無意識を映し出している

「あいつは軽蔑すべき人間だ」という表現が外化である。

自分が自分を軽蔑すべき人間だと思っている。その自分についての感じ方を外側の人間を通して感じる。それが外化である。

(写真提供:Photo AC)

「あいつは信じられないくらいバカだ」とか「あんなバカっているんだね」と大声で批判する。これが「理想の自分」と「実際の自分」の乖離の心理状態を外化する第一である。ナチスのユダヤ人虐殺などが、この実例である。虐殺は、ヒトラーの自己蔑視の外化であると精神科医のカレン・ホルナイは言う*1。

ゴードン・オルポートは投影を三つに分けている。直接的投影、ユダヤ人をサディスティックと言ったナチス党員がその一つの例である。

針小棒大投射とは、知覚的強調である。わずかなことをものすごいことのように言って批判する。他人の側にある性質を誇張する過程である。それは自分自身の無意識を映し出している*2。

*1 Karen Horney, Neurosis and Human Growth, W. W. Norton & Company, 1950, p.117.
*2 Gordon W. Allport, The Nature of Prejudice, A Doubleday Anchor Book, 1958. 原谷達夫・野村昭 共訳、『偏見の心理』下巻、培風館、1961、128頁