お人好しな人は損
お人好しと言われる人は、どこか自己蔑視しているところがある。
世の中で自己蔑視して無防備になったら、それは怖い。本当に怖い。裸で毒蛇がうようよしているジャングルを歩いているようなものである。
世俗の世界には、ずるい人が掃いて捨てるほどいる。絶えず人を利用しようとしている人がうようよしている。そんな世の中で無防備になったら、たちまち骨までしゃぶられてしまう。
だから現実にいじめられて自殺する人もいるし、過労死する人もいる。一生下積みの働き者がいる。能力があって働きづめでも、いつになっても貧しい人がいる。働いても働いても周囲の人に搾取されてしまい、いつになっても自分の家を持てない人がいる。それなのに、あまり働いていないのに立派なマンションに住んでいる人もいる。
働き者の弟が借家で、怠け者の兄が豪華な持ち家に住めることもある。ずるい人は誰からでも搾取する。親兄弟からも搾取する。
搾取する時の言葉が感情的恐喝である。つまり「兄弟なのに」とか「親子だから」と言って搾取していく。
※本稿は、『人はどこで人生を間違えるのか』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
『人はどこで人生を間違えるのか』(著:加藤諦三/幻冬舎)
手に入らない成功、不本意な評価、漠然とした生きづらさ――。「自分は生き方をどう間違えたのか?」と悩む人は多いだろう。
その原因は、不安や怒りにまかせて他人を責めてしまう「外化」という心理メカニズムにある。
人生相談のカリスマが贈る、満足のいく人生を送るための心理学。