右から、「OTEKOMACHI」の小坂佳子編集長、ジェーン・スーさん、『婦人公論』の三浦愛佳編集長(撮影:本社写真部)
昨年、開設20周年を迎えた「発言小町」。インターネットに数多ある掲示板の中で、人に言えない悩みを共有する場として独特の立ち位置を築いてきた。今回、「発言小町」を運営する「OTEKOMACHI」の小坂佳子編集長と、「発言小町」フリークとして読売新聞にコラム「小町拝見」を連載していたジェーン・スーさん、そして創刊以来100年に渡って女性の悩みに寄り添ってきた雑誌『婦人公論』の三浦愛佳編集長の3人が、「発言小町」20年の足跡について語り合った。「義実家」「夫の年収1000万」「ファッション音痴」「肩こり」……「発言小町」で語られる女たちの小さくて大きな悩み。変わりゆく常識や価値観の波に揉まれながら、「発言小町」が果たしてきた役割とは(構成=西澤千央  撮影=本社写真部)

「親 縁を切る」で検索すると

三浦 そもそも、「発言小町」はどうやって生まれたのでしょうか?

ジェーン・スー(以下、スー) 20年前だと……ガラケーでネットに接続していた時代ですね。

小坂 そうですね。徐々にパソコンが家庭に普及しはじめた頃、読売新聞のWEBサイトで女性向けのサービスを始めようという話になり、「発言小町」がスタートしました。

三浦 その頃って、「2ちゃんねる」などの掲示板文化はもうありましたっけ?

スー あったと思います。

小坂 当時は、メディアが女性のコミュニティを作ること自体がすごく新しい取り組みで。最初は投稿もパラパラ(笑)。細々とやっていたんですけど、途中でシステムを使いやすく変えてから数字がすごく伸びていきました。2014年に2億PV(月間)を記録し、今は大体1億PVぐらいに落ち着いています。

三浦 スーさんが最初に「発言小町」を見たのはいつ頃でしょう?

スー 以前、『ザ・トップ5』(TBS系列)というラジオ番組に出演していまして。そこで古今東西の悩み相談を紹介していたんです。その相談コーナーで定期的に「発言小町」をフィーチャーしていたら、「相談をメインに番組をやったらいいんじゃないか」という話になり、私がパーソナリティを務める『相談は踊る』っていうラジオ番組ができたんですよ。でも、一読者としてはもっと前から見ていました。「親 縁を切る」で検索すると、だいたい上位に表示されるのが「発言小町」でしたからね。

三浦 スーさん、なぜそんな検索を? 婦人公論的にはつっこみたいところですが。(笑)

小坂 私が「発言小町」の担当になって、へぇ~と思ったのは「義実家」という言葉。「発言小町」ではよく使う言葉ですけど、厳密には“日本語として認められない”そうです。

三浦 『婦人公論』の校閲者も指摘を入れてきますよ。「夫の実家」に直しちゃう。

小坂 うちの新聞(読売新聞)も駄目です。だけど、あまりにもよく使われていますからね。

スー 浸透しましたよね。

小坂 それでもう「発言小町」では解禁にしました(笑)。義理の親との関係は、「発言小町」にとって格好のネタというか、“栄養分”なんです。

三浦 “燃料”ですね。

小坂 人間関係の悩みには答えがない。「発言小町」の中にはありとあらゆるトラブル模様というか、お悩み模様が詰まっているな、と思います。

三浦 その点は『婦人公論』とよく似ていますね。

小坂 そして20年もやっていると、少しずつ悩みポイントが変わってきたり、常識も変わってきていると感じます。

スー そうですよね。