実家の相続を弟から求められた
F男さんの父親はそれから約3年後にさらに肝機能を悪くして再入院して、闘病生活を送ったが死去した。遺言書はなく、遺産分割となったが、弟は「実家の相続をしたい」と言い出した。
F男さんは突然のことなので返事を保留したが、弟はすぐに弁護士を立てて家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てをしてきた。調停では対面しての話し合いはできないので、F男さんは戸惑った。
F男さんは比較的あっさりした性格だったが、F男さんの妻が、法的手段に訴えてきた弟のやりかたに納得しなかった。F男さんは調停で弟の実家取得に反対したが、自分が不利であることを思い知らされた。
F男さんが「長男だから実家を受け継ぎたいです」と言っても、調停委員は「いつの時代の話をしているんですか。長男であることなんて、理由にはなりませんよ」と取り合わなかった。F男さんは、父親を引き取ったことを次の理由にしたが、「親を引き取ったかどうかは、不動産の継承にはほとんど影響しないというのが、これまでの通例です」と調停委員は説明した。