登場する団地は実在のもの
つつじヶ丘の神代(じんだい)団地、高田馬場の都営西大久保アパート、豊洲の豊洲四丁目団地……。二人が訪れる団地はすべて実在します。
実際に自分が行った場所から厳選しました。団地といってもそれぞれ特徴があって、面白いんですよ。建物も個性があるし、敷地の中に商店街や保育園があったりするし。
二人が食事するカフェや飲食店もすべて実在のものです。登場するメニューの見た目や味なども、自分が経験した通りに描写しました。ガイドブックのようにこの本を持ち歩いて、楽しんでもらえるように意識しました。
実際、複数の知人から、「本に出てきたあの団地に行ってみました」と言ってもらっています。
団地めぐりって楽しいんですよ。比較的駅から離れたところにあることが多いので、電車を降りてバスで移動することもあり、都内でも遠足のような気分を味わえるんです。
執筆を経て、自分もすっかり団地に詳しくなりました。じつは数年前に引っ越した先も、団地でした。築年数は古いとはいえ、部屋も広めで収納が多いし、リフォームされてお洒落になっていて、床暖房もある。
マンションに住んでいた頃よりも便利に感じるくらいです。棟と棟の間隔が広くて、公園や遊歩道があるので、よく散歩しています。
引っ越しの際に持ち物はかなり整理しましたが、それでも好きな漫画は捨てられなくて。今も一間は漫画がいっぱい並んだ、漫画研究会の部室のような感じになっています。編集者からは「オタク部屋」と言われていますが、好きなものだけに囲まれたひとり暮らしは楽しいです、本当に。
『団地メシ!』は続篇を書くことになりました。まだ登場させていない団地はたくさんあるのですが、この先、花とゆりがどうなっていくのか。今、じっくり考えているところです。