イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャンなど幅広い分野で活躍するみうらじゅんさん。『週刊文春』で行われている連載の書籍化で、2025年4月に『アウト老のすすめ』が刊行されました。「今後の目標は、”しょうがないなあ”と思われる老人になること」と語るみうらじゅんさんが、”老い”について思うことは――(構成:山田真理)
「しょうがないな」と言われたい
僕は今年67歳ですが、後ろに「児」をつけるくらいが気分的にはちょうどいい。大人げないまま高齢者になった「67歳児」の珍妙な日常や妄想、愛の思い出を詰め込んだエッセイ集が本書です。
インディ・ジョーンズ宛に、青森にあるキリストの墓を冒険してみないかと手紙を書いてみたり、叶姉妹をモデルにしたフィギュアをご本人から譲られてドギマギしたり。
そんな顛末を書き連ねた本書を読んで、「中学の教室で、男子がくだらない話で盛り上がっているのを『やあねぇ』と横目で見ていた頃を思い出した」と感想をくれた女の人がいたけど、もともと週刊誌連載時のタイトルが「人生エロエロ」ですから、さもありなんというか。(笑)
「アウト老」とは、はみ出し老人のこと。子どもの頃に流行ったマカロニ・ウエスタンの、ちょっとワルなヒーローのイメージです。
僕は小学生の時から仏像のスクラップブックを作って喜ぶような子どもで、普通にみんなが遊ぶ球技とかはまったく楽しめませんでした。思春期にはロックの洗礼を受けて、社会を疑え、常識を破れという「アンチ」の姿勢にも染まった。
今でも、流行ってる映画は観ないし、並んでるラーメン屋さんには行きません。逆に、誰も注目しない地方のマスコットキャラクターを「ゆるキャラ」と名づけて面白がるような変なことばかり、40年以上やってきたわけです。

『アウト老のすすめ』(著:みうらじゅん/文藝春秋)