いかに老いを面白がるか
今の世の中はアンチエイジングとか言って、とにかく若く見えることがよしとされる。だから僕は、逆にちゃんと老けてやろうと思ったんです。若づくりならぬ、老けづくり。コロナ下で人前に出ない間に、白髪まじりのヒゲを長く伸ばしたのも、写真に撮られる時に杖を持つようにしたのも、いわば「おじいさんコスプレ」です。
ふざけているようですが、そうやって自分は年寄りだという自覚を持つのは、すごく重要なことだと思います。本書の中でたびたび《開講》している「老いるショック・セミナー」では、いかに老いを面白がるかを考えました。
あちこち不調を感じた時に、「自分はそんな年じゃない」と現実から目を背けるほどしんどくなるもの。むしろ痛む膝や腰を指さして、「老いるショ~ック!」なんて言ってみるくらいの態度でいたほうが、楽しいじゃないですか。
そもそもみんな、老いをシリアスにとらえすぎなんですよ。病気になるかも、お金が足りなくなるかもと不安を煽るのは、「お金を使わせたいという資本主義のたくらみだ!」くらいに思っておいたほうがいい。
真面目な人ほど先の先まで考えて心配になるのかもしれないけれど、まだ見ぬ未来なんて結局はファンタジーですからね。何か不安を感じたら、「不安タスティック!」と鏡の前で唱えて、自分で自分を笑ってみるのがいいと思います。