「しょうがない老人」をめざして
昨今流行りの終活も、みんな真面目だなあと思ってしまう。「遺された家族が困らないように」なんて、死んだ後のことまで心配しても仕方がないですよ。アウト老の辞書に「終活」という文字はない。くだらないけど好きなモノを集め続ける「集活」を、僕は一生続けるつもりです。
本書には、タレントの松本明子さんが父親の遺品にあった大量のエロ漫画を僕にくれるエピソードがあります。エロの好みは人それぞれだから、もらっても困るのだけれど、「本棚の裏に隠してあった」というのが妙に可笑しくて。エロは滑稽で人間くさい。もし生前にご本人が「見られたら困る」と捨ててしまっていたら、こんな面白い話も残らなかったでしょう。
僕の今後の目標は、「しょうがないなあ」と思われる老人になること。以前、親戚の法事へ出た時、もう何十回忌にもなるし、夏の暑い盛りだから普段着でいいだろうと思ってアロハシャツで行ったんです。でも、お寺に着いたら僕以外全員喪服。
ぎょっとした顔で見られたんですが、ある親戚のおばちゃんが、「いいじゃないの、じゅんちゃんが来てくれただけで」と言ってくれたんです。「しょうがない老人」に近づけた気がして、すごく嬉しかった。
「いい年をして」とか「年寄りのくせに」なんて言葉を、いちいち気にしてたら窮屈です。意外と世間って、他人のことなど気にしてないもんですよ。自分のしたいことを、したいようにする。「アウト老」のマインドがもっと浸透して、みんな年をとるのが楽しい世の中になったらと願っています。