初登場のインパクト

火縄銃のシーンに備えて、グアムに行って射撃を経験してきました。もともとビビりで、クラッカーの紐もひけない人間です。銃を撃つとなると技術だけでなく、心構えも必要でした。グアムでは防音のためにイヤーカフをつけるので音が全く聞こえない。実際の撮影現場では、発射音があって、自分の耳で聞きます。びくっとしちゃいけないのですが、やっぱり驚いてしまってNGが出ましたね。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

僕はこの火縄銃を撃つ場面について、台本を読んで、道廣は「家臣を脅す方法として部下に火縄銃を向けている」と受け止めていました。でも、大原監督とお話しをして、道廣にとっては「脅し」ではなくて「趣味」で行っていると解釈し直したんです。ただ、自分のなかでどうしても「悪いことをするぞ。撃ってやるぞ」みたいな気持ちが出てきてしまう。「力を抜いてください」「もっと明るくいきましょう! 」とディレクションしていただきました。

何度かテイクを重ねて、最終的には幸楽でラーメンを運んでいた時と何も変わりがないようなニュアンスで演じたテイクが採用になったんです。

火縄銃の場面は、皆様から「めちゃくちゃ怖かった」と言われます。「今自分が何をやっているのかわからないけど、これでいいのかな?」という感じで演じたものがすごく高くご評価いただいた。お芝居の面白さと難しさを実感しております。