『軽度認知症害（MCI）』の段階で
早期発見がカギ

水の出しっぱなしやコンロの火の点けっぱなし、以前は好きだった趣味などに興味がなくなる、何度も同じ話をするのも典型的な兆候。そうした変化を指摘されて、怒ったりごまかしたりする場合も要注意です。

そもそも認知症は、脳の神経細胞や神経伝達物質の質が低下したり数が減ったりして、脳が老化することで発症します。

「認知症の約6割を占めるアルツハイマー型は、アミロイドβというタンパク質が脳にたまり、記憶・空間認知を司る海馬の神経細胞が萎縮することで起こるのです」

残念ながら、発症すると進行を食い止めることは不可能、と伊藤先生。

「ただし、認知症の前段階にあたる『軽度認知症害（MCI）』であれば、もの忘れはあるものの認知機能全般には問題がなく、日常生活も支障なく送れますから、この段階で対策を打てば、元の健康な状態に近づいたり、進行のスピードを緩やかにしたりすることは可能。ですから、早期発見がカギになります」