中小の映画配給会社やプロダクションは……

一方、中小の映画配給会社やプロダクションは、入社できれば希望部署に配属される確率は高いでしょう。会社の代表、プロデューサーに付いて経験と実績を積み、プロデューサーとして企画開発して、制作し一本立ちしていきます。

興行でのヒット(利益を出す)、海外映画祭での受賞といった結果が出せれば、その会社を担って作り続けるか、大手や他社に転職、もしくは独立して自らのプロダクションを立ち上げ、得意な作品を作っていく道を選ぶかの決断となります。

例えば、『シコふんじゃった。』(1991)などの桝井省志プロデューサーは大映(2003年に解散、現在のKADOKAWA)から独立し、周防正行監督らと製作・配給会社アルタミラピクチャーズを立ち上げました。

『Shall we ダンス?』(1996)で社交ダンス、『がんばっていきまっしょい』(1998)で女子ボート、『ウォーターボーイズ』(2001)で男子シンクロナイズドスイミングを描き、娯楽作をヒットさせるとともに、独立プロならではの作家性が高く評価されています。

また、東京藝術大学(大学院映像研究科映画専攻プロデュース領域)などで教鞭をとり、後進の育成にも力を注いだプロデューサーのひとりです。

※本稿は、『映画ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

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