支配欲求がかなり強い夫
夫も診察に付き添って来院したことがあるのだが、診察の際も人生設計を理路整然とまくし立て、自分が正しいと思い込んでいるような印象を受けた。
妻の意見を聞いて、部分的にせよ自分の計画を修正していくようには見えなかったので、経済的に依存せざるを得ない専業主婦の立場では、何も言えなかったのだろう。
この夫は家庭内のすべてが自分の思い通りにならないと気がすまないようで、それが妻の苦悩に拍車をかけているようにも見受けられた。
家事や買い物などについて細かく指示するうえ、そうしなければならない理由を理路整然と説明し、妻がその通りにやらないと不機嫌になるそうだ。
そのせいで、妻は、夫の帰宅時間が近づくと動悸がするようになったのだが、夫のほうは、自分が妻のさまざまな症状の原因になっているとは夢にも思っていないようだった。
一連の夫のふるまいから、支配欲求がかなり強いことがうかがわれる。強い支配欲求ゆえに、何かにつけて妻に細かく指示し、その理由を理路整然と説明して、妻がその通りにやるように暗黙のうちに強要するのだろう。
人生設計をきちんと立て、その通りに物事を進めないと気がすまないのも、強い支配欲求の表れのように見える。