「自分より学歴が低い男性は尊敬できない」という姉

さすがに両親も見かねたのか、姉に結婚を勧め、結婚紹介所に入会させた。しかし、「自分より学歴が低い男性は尊敬できない」というのが持論の姉は、釣書を見て「この人、低学歴だからダメ」と言うそうで、なかなか見合いにまでたどりつかない。

担当者も「男性はやはり若い女性をお選びになるので……」とやんわりと注意したとか。

一連の経緯を振り返ると、姉の胸中には羨望と嫉妬の入り交じった感情が渦巻いている可能性が高い。

羨望とは、他人の幸福が我慢できない怒りであり、妹が結婚して子育てと仕事を両立させていることに対して姉が抱いているのは、この感情にほかならない。

もっとも、自分が羨望を抱いていると認めれば、羨望の対象よりも自分自身が劣っている事実を認めることになりかねない。それは、プライドが高い姉にとって耐え難い。

だからこそ、妹が手にしている幸福の価値を否定せずにはいられないわけで、仕事にも夫にもケチをつける。

その際持ち出すのは決まって唯一自分が妹よりも勝っていると自負できる学歴であり、裏を返せば、現在の姉にとって誇れるのは学歴しかないともいえる。