学歴マウントを取る人(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)
何を言っても否定する、学歴を自慢する、理路整然と自分の意見をまくし立てる…なぜ人はマウントを取りたくなるのでしょうか。精神科医・片田珠美さんは「不満や怒り、羨望や嫉妬などのネガティブな感情が往々にして潜んでいる」と指摘します。マウントを取る心理について、著書『マウントを取らずにはいられない人』より一部抜粋して紹介します。

なぜ学歴マウントを取らずにはいられないのか

30代の会社員の女性は、「自分より学歴が低い上司の下では働きたくない」と口癖のように言う高学歴のアラフォーの姉に手を焼いている。

この姉は難関国立大学を卒業し、東京に本社がある大企業に就職したものの、「自分にふさわしい仕事じゃない」とすぐに辞めてしまった。

その後も職を転々としていたのだが、これは仕事で少しでも嫌なことがあると辞めてしまうからだという。

やがて転職活動をしても相手にされなくなったのか、現在は実家に舞い戻り、塾講師のアルバイトを不定期でやっているそうだ。

一方、妹のほうは、地元の私立大学を卒業して中小企業に就職した。大学の同級生と結婚した後、一人息子を授かり、産休と育休を経て共働きを続けている。

実は、結婚に際しても、当時は東京に住んでいた姉から電話で「よくそんな低学歴男と結婚できるわね」とバカにされたらしい。

妹としては、夫と同じ大学の出身である自分自身も低学歴と見下されたように感じ、怒りと悲しみの入り交じった感情が込み上げてきたという。 

もっとも、当時、姉は東京に住んでいたので、会うことはめったになかった。結婚式の前には、夫に「姉は口が悪いので、気をつけて」と伝えておき、結婚式でも姉と夫がなるべく顔を合わさないように配慮し、必要最小限の挨拶だけですませて何とか乗り切った。