厚生労働省の「令和5年簡易生命表の概況」によると、2023年の日本人の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.14年だったそうです。そのようななか、脳卒中リハビリのエキスパートである、ねりま健育会病院 病院長・酒向正春先生は「本当にやりたいことができる人生100年時代を送る身体づくりが必要」と話します。そこで今回は、酒向先生の著書『筋肉革命95 何歳からでも実現できる95歳で当たり前に歩いて楽しむ人生を』より一部引用、再編集してお届けします。
基本は筋肉増強、何歳からでも増強できる
90歳の男女10人が筋肉トレーニングを高強度(80% 1RMを8回が1セット)で週3日、8週間行った結果、筋肉の断面積が111%に肥大して、1RMが174%に増加したという研究報告があります。
私たちの治療現場では、筋肉トレーニングで100歳代でも筋肉量は増えて、筋力も増大できました。(運動強度の目安の単位は、RM=レペティション・マキシマムの頭文字をとったもので、最大反復回数を示す。1RMは1回持ち上げることが限界の重量のこと)
表1に年齢別握力を示します。

<『筋肉革命95 何歳からでも実現できる95歳で当たり前に歩いて楽しむ人生を』より>
握力は全身筋力の簡単な指標となります。女性が18kg未満、男性は28kg未満でフレイルの診断基準になりますが、80歳を越えると多くの人がフレイル基準まで低下します。さらに、握力が15kg以下になると転倒するリスクが高まります。健康を保つために必要な筋力の目安があるのです。