無意識の上から目線には注意が必要
セクハラやマタハラという意識が広まっているので最近は少なくなったそうだが、会社でも先輩が後輩に、「結婚はまだ?」「子どもはいつ?」と聞くことがあった。こちらも普段は「面倒見のいい先輩」が善意で訊ねていたのだろう。それを聞かされた側の心中はざわつきながらも、善意であることが理解できるので事を荒立てず、笑って済ます。だから、親や先輩は自分の価値観のズレに気づけない。
結婚や出産に関する会話は典型的だが、実はいろいろな場面で「善意の質問、善意のアドバイス」が迷惑がられている。
「お医者さんに心付けを渡さないと扱いが悪くなるよ」などと言う年配者がいるが、現代のコンプライアンスでは論外だ。「クラシックのコンサートには必ずネクタイを締めていきなさい」もかなり時代遅れの感覚というしかない。
社会常識の変化についていけない部分は、年配者なら誰にだってある。だからこそ、「他者のために善意でやっている」という無意識の上から目線には注意が必要だ。善意の押しつけをするくらいなら、「他人は他人、自分は自分の道を行く」と割り切っている頑固老人のほうが周囲はありがたい。