ふたりでいるとボクの方がベラベラ喋って、田中マンはどちらかと言うと聞き役かもしれません。優しい田中マンは全部まじめに聞きながらボクの喜怒哀楽に反応してくれるのでちょっとずつ料理がたまるのでした。

最後は「オレのエリアやから」と田中マンがおごってくれました。ボクから誘ったのに、なにからなにまで甘えてしまった日になりました。

思い返してみると昔からそうで、いつも喋っているのはボクの方でした。

マンはボクの都合のいいように話を忘れてくれてたりするから喋ってて楽しくなる。

一方でボク自身がすっかり忘れてるどうやらボクの良いエピソードを細かく覚えていたりして「違うで! フジイはあの時〜」と熱く話してくれたりするので、「そ、そうなん!?」なんて言いながら照れたりしてしまう。

 

『マ・エノメーリ』(著:藤井隆/KADOKAWA)