免許返納バトルの開始
電話の内容が父に聞こえるように、私はスマホのスピーカー機能をONにして電話をかけた。薬は家にあったことを報告すると、先生は安心したと言ってくれたが、運転のことは再度注意された。
「お父さんの運転は危ないから、来月からは久美子さんが運転してお父さんを連れてきてくださいね」
「はい、わかりました」
電話を切った私に父は言った。
「俺はおまえの車に乗せてもらうつもりはない。今まで事故を起こしたことがないのだから、運転はやめない」
こうして8年前の夏から、運転をやめる気がない父と、事故を起こす前に免許を返納させたい私とのせめぎ合いが始まった。
2024年2月に刊行された『オーマイ・ダッド!父がだんだん壊れていく』(中央公論新社)の元となる婦人公論.jpの連載には、車の運転を諦めるまでの父の葛藤を現在進行形で書いてきた。
現在96歳の父のことは、これからも続く番外編で書かせてもらいます。共感したり、楽しんでいただいたりしてもらえたらうれしく思います。
(つづく)
【漫画版オーマイ・ダッド!父がだんだん壊れていく】第一話はこちら
『【コミック版】オーマイ・ダッド!父がだんだん壊れていく』(著:森久美子 , 作画:とんがりめがね/中央公論新社 )
(WEBメディア『婦人公論.jp』で好評を博した連載を電子オリジナルコミック化!
95歳・男やもめの頑固な父を67歳の一人娘が介護する――
笑えて泣けて、ちょっと切ない…
肩の力が抜ける、失敗だらけだけれど温かい、父と娘の老々介護の話
もしや認知症? プライドが高い父
とうとう父は事故を起こした
父、熱中症で動けなくなる
恐れていた郵便
親たちを介護し、49歳で母は逝った
歩ける父は入院を拒否された
老いは必ずやってくる。
親への失望、ジレンマ、迷い、自責の念――
選択の連続、終わりもわからず、つらく切ない日々でも、日常の小さな喜びを繋ぎ合わせて悔いのないゴールを迎えるための処方箋






