歌手、俳優の美輪明宏さんがみなさんの心を照らす、とっておきのメッセージと書をお贈りする『婦人公論』に好評連載中「美輪明宏のごきげんレッスン」。7月号の書は「ノー天気」です。
ネガティブな感情は幸運が遠ざかる
ノー天気とは、のんきでお気楽な人を形容する言葉。世間ではあまり褒め言葉とは思われていないようですが、私はいい言葉だと思っています。「あなた、本当にノー天気ね」と言われたら、褒め言葉として受け取っていますよ。
振り返ってみると、私の人生は本当にジェットコースターのようでした。なにをやってもうまくいかず極貧に陥った時期もありますし、病気や大怪我も、何度も経験しています。人から騙されることが続き、人が信じられなくなった時期もありました。
そんなときは落ち込んだり、場合によってはつい人を恨みそうになりますが、ネガティブな感情を抱くと幸運が遠ざかると気づきました。
この年齢まで生きてきてつくづく感じるのは、怒りや憎しみ、悲しみ、落ち込みといったマイナスの感情を追放することの大切さです。
苦しみや困難の渦中にあるときはなかなか余裕がないかもしれませんが、「まぁ、そんなこともあるさ」「なんとかなる」と達観し、「自分ならきっと乗り越えられる」と自分を信じ、嵐が去るのを待ちましょう。そして過ぎてしまったら、イヤなことはきれいさっぱり忘れてしまうのです。