火葬場業界に中国系企業が参入

余談だが、医療・介護を受けた後、誰でもいつかは荼毘に付されるわけだが、多死社会で潤うこの火葬場業界には、中国系の企業が参入しているのをご存じだろうか。

東京23区内には民間の火葬場が7カ所あり、そのうち6カ所は広済堂ホールディングスの東京博善が経営しているのだが、その筆頭株主は、グローバルワーカー派遣株式会社という中国系の会社だ。同社は、中国上海出身の実業家でラオックスグループを率いる羅怡文(らいぶん)氏が関わっている会社だ。ラオックスグループは、訪日外国人向けの免税家電量販店ラオックスなどを経営することで知られる。

また、PA ACE IVという香港の会社も広済堂ホールディングスの株を約10%保有している。そして、羅怡文氏は、2022年6月には広済堂ホールディングス会長、2024年6月には同社CEO(最高経営責任者)に就任している。中国は基本的に土葬だが、何しろ、人口が約14億人の国だ。やはり高齢社会が進んで中国も多死社会に入っており、火葬ノウハウを得たいのではないかという報道もある。

ちなみに、中国系のグローバルワーカー派遣が筆頭株主になる前に、広済堂の株を約20%持つ筆頭株主だったのは、麻生太郎元首相の曾祖父の麻生太吉氏が創業し、現在も麻生一族が経営する株式会社麻生だ。同社は福岡県飯塚市に本社があり、不動産事業などのほか、飯塚病院という福岡県では有名な病院や看護学校も経営している。株式会社麻生は、筆頭株主ではなくなったものの現在も広済堂の株を保有している。新たな火葬場の建設は住民の反対運動などが起こるため難しいこともあって、競争相手の参入の心配も少ない。火葬・葬祭産業は手堅く収益が得られる分野なのだ。