ハチだけが蜜にありつける仕組み

稲垣教授はホトケノザを1本引き抜いて、学生たちに見せた。

「ホトケノザの花をよく見てごらん」

ホトケノザの下の花びらには蜜のありかを示す模様が描かれている<『雑草教室-図鑑が教えてくれない植物たちのひみつ』より>

学生たちも、ホトケノザを取ってきた。

「下の花びらを見ると、模様が描かれているのが、わかるかな」

「あります!」

「これが、蜜のありかを示す目印だ」

ふむふむ。

「ヘリポートのように、ハチはこの目印に止まる。すると蜜への入口が見えるようになっているのだ」

「ホントだ!」

「花の中にも蜜のありかを示す目印があり、目印に従って花の中に潜っていくと、蜜が隠されている」

「何だか、謎解きゲームみたいですね」

岡山さんが花の中をのぞき込みながら言う。彼女は謎解きが好きなのだ。

「そのとおり。この謎を解ける虫、つまりハチだけが蜜にありつける仕組みになっているのだ」