簡単な仕組みでハチとアブを選別する
「でも、そんな簡単な仕組みでハチ以外の昆虫の侵入を防げるんですか?」
瀬戸田くんが、質問した。
「良い質問だね。まぁ、観察してごらん。百聞は一見にしかずだ」
ホトケノザを観察していると、アブがやってきた。
ところが、アブは上から花にやってくるので、花を覆い隠している上の花びらに止まってしまう。花びらの上をうろうろ歩き回っても、蜜への入口を見つけることはできない。そのうち、あきらめてアブは飛んでいってしまった。
なるほど、こんなに簡単な仕組みでも、ハチとアブを選別することができるのだ。
瀬戸田くんは感心した。
※本稿は、『雑草教室-図鑑が教えてくれない植物たちのひみつ』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『雑草教室-図鑑が教えてくれない植物たちのひみつ』(著:稲垣栄洋/中央公論新社)
本書で書かれている植物に関するデータは、実際の実験によるもの。
研究などで解明されることのない“身近な疑問”について、学生たちが自ら試すことでたどり着いた「図鑑や論文では書かれることのない特性」を取り上げる。