たくさんの問い合わせが寄せられるように

初音ミクは開発の段階からそのキャラクターのデザインがユーザーの動画に使われることを想定していたため、ソフトウェアのホームページ上に二次利用してもよい公式イラストを公開していました。イラストレーターのKEIさんに頼んで描いてもらった、3枚の初音ミクの画像です。

「初音ミク」2007年発売当時の公式イラスト(Art by KEI © CFM)(イラスト:『創作のミライ-「初音ミク」が北海道から生まれたわけ』より)
「初音ミク」2007年発売当時の公式イラスト(Art by KEI © CFM)(イラスト:『創作のミライ-「初音ミク」が北海道から生まれたわけ』より)
「初音ミク」2007年発売当時の公式イラスト(Art by KEI © CFM)(イラスト:『創作のミライ-「初音ミク」が北海道から生まれたわけ』より)

当初は、3枚では足りないかもしれないと考えていたので、もっといろいろな絵をKEIさんに描いてもらおうという話を社内でしていました。でも、実際にはたくさんの方が自らイラストを描いてどんどんネットに上げていくという状況が生まれたので、それは杞憂に終わりました。

『創作のミライ-「初音ミク」が北海道から生まれたわけ』(著:伊藤博之/中央公論新社)

そして、9月に入ると、当社宛てにたくさんの問い合わせが寄せられるようになりました。

ソフトウェアを購入したユーザーからの相談や、フィギュア化等のビジネスに関する問い合わせだけではありません。その頃にはイラストレーターさんが公開した初音ミクのイラストを無断で利用した動画が創られて、中には動画共有サイトに公開されるものもあった。だから、そのことについてイラストレーターさんから「どうすればいいですか」と相談が来ることもありました。

そこで、「ちゃんと著作権の権利処理のルールを定めないとクリエイターの創作モチベーションに影響が出る」と痛感したわけです。クリエイターが創作しやすい環境をつくるには、また、こうした問題を解決するためには何をすればいいのか……。