同人文化と著作権問題

ただ、僕たちはもともと音に関する事業を中心に展開していたので、初音ミクが誕生した時点では、音楽には知見があったものの、キャラクタービジネスについてはまったくの素人でした。もともと同人文化に明るいわけでもなかったので、同人文化におけるキャラクターと権利をめぐる問題についても、正直、最初の時点ではあまりわかっていませんでした。

そもそもキャラクターというものはどういう権利から構成されているのか。権利処理にはどういう手続きが必要なのか。まず法律を理解しないと何もできません。弁護士の先生などしかるべき方面にも相談しながら、法律的な基礎知識を勉強していきました。そして、同人文化についても調べました。

日本には「同じ趣味や興味を持つ人たちが集まって創作物を制作・共有する」という同人文化が脈々と存在していて、いろんな一次創作が行われている一方で、既存の漫画やアニメやゲームなどのキャラクターを用いた二次創作も行われています。

僕たちが向かい合わなければいけない問題はキャラクターの二次利用に関することだったので、この同人文化における二次創作がどのようにして成り立っているのかという点に注目しました。