お互いに見て見ぬふりをしているような関係
同人文化における二次創作では、既存の作品のパロディのような新しい創作物をファンがつくり、それを同人誌として頒布しています。つまり、原価程度の対価を受け取りながら販売しているわけです。そうした状況の中で、大抵の場合は、版権を持った版元と、同人作家の間には、お互いに見て見ぬふりをしているような関係があるとわかりました。
たとえば「ドラえもん」のように世の中に知れ渡っているIP(知的財産)があったとして、その版権を持っている小学館のような企業とまったく関係のないクリエイターがその続編としての同人誌を創って出すとすれば、著作権侵害にあたる可能性があります。本来なら、あらかじめ著作権者の許諾が必要になる。それでも同人文化の中では、同人作家が既存の作品の二次創作として同人誌を創って頒布することは黙認されていたのです。
版権者と同人作家は契約しているわけではなく、許諾を取ることもなく、無断で二次創作しているケースがほとんどです。ただ、あまりにも突出して目立ってしまうと訴えられたり、差し止めされたり、ストップがかかったりする。
同人文化における二次創作というのは、そういう状況の下で、創り手が自重しながら創作していくという形で成り立っているものなんだと知りました。