来場者自身にも創作の楽しさを
そこであらためて考えたのです。初音ミクというのはそもそもコンサートを開催するような存在だったのだろうか、そもそもは「楽器」ではなかったのか……。バーチャルシンガーではあるけれど、それはただ単にステージに立って奉られる存在ではなく、クリエイターの創作を支えるための裏方的な役割も持っている。だから初音ミクだけを持ち上げるのはどうなんだろう……と考えたのです。
なので、初音ミクのコンサートを開くのであれば、ライブだけでなく、その裏側のムーブメントについても同時に伝えていくほうがいいと思った。そこから「マジカルミライ」というイベントの発想が生まれました。
「マジカルミライ」では、ライブと企画展をひとつのイベントの中で共に開催しています。企画展ではクリエイター作品の展示や、来場者も創作に参加できる企画、さまざまなクリエイターのイラストを使用したグッズの販売などを行っています。
これらがあることによって、初音ミクたちバーチャルシンガーとそのクリエイターたちの双方をしっかりと紹介し、来場者自身にも創作の楽しさを知ってもらえる機会になった。それが恒例行事になって現在まで続いていることで、初音ミクにより巻き起こった創作文化の原点を伝えることができているのではないか、そう思っています。