日本発の音楽文化として、世界で人気のバーチャルシンガー「初音ミク」。その生みの親であるクリプトン・フューチャー・メディア株式会社の代表取締役・伊藤博之さんは、初音ミクを「クリエイターにとっての音楽仲間のごとく、作品創りに寄り添い、想いをかたちにする存在」と言い表します。今回は、伊藤さんの著書『創作のミライ-「初音ミク」が北海道から生まれたわけ』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
なぜライブと企画展を併催するのか
初音ミクのこれまでの歩みを振り返って、ひとつのターニングポイントになったのは、“初音ミク「マジカルミライ」”(通称「マジカルミライ」)の開催でした。
いまでは初音ミクはソフトウェアという枠組みを超えて、ライブパフォーマンスを行う「バーチャルシンガー」としても活躍しています。
2013年から毎年開催しているイベント「マジカルミライ」のポイントは、初音ミクたちピアプロキャラクターズがバーチャルシンガーとして出演する3DCGライブと、創作の楽しさを体感できる企画展を併催したことです。バーチャルシンガーによる3DCGライブという分野は、いまではVTuberさんなどにも大きく広がっていますが、初音ミクはそのパイオニアでした。
なぜ初音ミクで最初に3DCGライブを始めたのか。そのきっかけのひとつはゲームでした。