ものづくりが好きだった子ども時代
生まれは岡山県です。幼い頃は友だちと外で遊び回るような、活発な子どもでした。ただちょっとクセがあって、皆がアイドルにはまっているときにマイナーな洋楽を聴いたりしていたので、趣味が合う友だちはいなかった(笑)。ものづくりが好きで、祖父が雛人形職人だったので、ちっちゃい頃から何かしら一緒につくっていた記憶があります。
料理も好きでしたね。料理漫画を読んでは、それを真似るんです。最初につくったのは大きなプリン。その後もババロアやゼリーなどに挑戦し、料理の腕が上がると、家族の晩ご飯までつくるようになりました。
絵を描くのも好きで、高校卒業後は京都にある美術系の大学に進学。将来は絵本作家になれたらいいなと漠然と考えていたんです。ところが家庭の事情で地元を離れることに。僕は家財道具一式を売り払って資金をつくり、バイクで一路東京を目指しました。
俳優の仕事を始めたのは、25歳のとき。単純に生活のためです。昼も夜もバイトに明け暮れるなかで芸能界の関係者に出会ったことが、この世界に入るきっかけになりました。映像では簡単そうに見えた演技でしたが、いざやってみると手も足も出なくて。それで逆にやりがいと魅力を感じ、この道で頑張っていこうと決めました。
ただ、やりがいはあってもうまくはならない。そもそも何が正解かもわからない。初舞台『三人姉妹』(2000年)で演出家の蜷川幸雄さんにもこっぴどく叱られて。どうすればいいんだろうと途方に暮れていたときに出合ったのが、時代劇でした。
時代劇には刀の抜き方、歩き方などの型があり、人から教えてもらうこともできます。覚えたらできることがあると感じて、「時代劇や殺陣(たて)を一から学ぼう」と決意したんです。