持つべきものは情報と友人
信じたくなかったけれど、その少し前から病院の予約時間を忘れるなど、認知症の初期症状が表れていたようです。入院をきっかけに私たちきょうだいは、母の「これから」を真剣に考えることになりました。
長兄は家族と住む家に母を引き受けることができず、私も東京で仕事をしています。そこで当初は、自営業の次兄が家族の了解を得て、実家に戻り母と同居してくれることに。
母も住み慣れた家を離れずにすんでほっとしたと思いますが、次兄は料理といってもおでんくらいしか作れない。毎日の生活でも、長年一人で自由に暮らしてきた母と、律儀できれい好きの次兄とでは折り合わないこともあり、関係は次第にぎくしゃくしていきました。
そんな親子の様子を見て、「そろそろ施設がいいかもね」とアドバイスをくれたのが、地元の病院で看護師長をしていた中学時代の同級生、おミズです。
勤めていた病院でリハビリや介護にまつわる業務をしていて、介護保険の仕組みや施設の選び方などを教えてくれました。彼女がいなければ、私は早々に音を上げていたかもしれません。