現在、教育界では明治維新以来150年ぶりに教育の抜本的な見直しが進められています。そんななか、日本最大級の教育イベント創設者・大学特任准教授・学校法人理事など、さまざまな立場や役割で教育に関わっている宮田純也さんは、「大切なのは『変化に適応する』だけではなく、積極的に『未来を構想していく』ことです」と語ります。今回は宮田さんの著書『教育ビジネス 子育て世代から専門家まで楽しめる教育の教養』(クロスメディア・パブリッシング)から一部を抜粋し、お届けします。
個人が最も大きな力を持っている時代
私たちは人類の歴史のなかで、個人が最も大きな力を持っている時代を生きているのではないでしょうか。
情報通信技術を梃子として、私たちにできることが増えているからです。より具体的に言えば、私たちは「知識」を活用して「知恵」を創造し、さまざまな情報をグローバルに受発信する主体へと高度化しつつあるのです。
情報通信技術の重要性を理解するために、グローバル化という現象に目を向けてみましょう。
グローバル化は最近始まったことではなく、「大航海時代」とも呼ばれる15世紀半ばに端を発します。この時代には、スペイン女王のイサベルがコロンブスを支援していたことに象徴されるように、国家がグローバル化を進める中心となっていました。当時の遠洋航海には膨大な資金が必要だったためです。その後、産業革命が起こると、民間に資本が蓄積されたことにより、企業(特に多国籍企業)がその中心となります。