「数万人が餓死」とされたが…

もちろん、江戸時代には、こうしたイネの改良は未発達でした。ですから日照時間が短い夏=寒い夏が続くと、コメはいっぺんに取れなくなったのです。

そのために起きた天明の飢饉の被害は、東北地方の農村を中心に、全国で数万人(推定約2万人)が餓死したといいます(杉田玄白『後見草』)。

けれども、この数は信用できません。

諸藩は失政の咎(改易に処せられる、など)を恐れ、被害の深刻さを正確に報告することをしませんでした。

弘前藩を例にすると、この藩だけで死者は10数万人に達したとも伝えられており、隣りの秋田藩に逃げ出した人も含めると、藩の人口は半数近くになったといいます。

これは弘前藩だけの話ではなかったはずで、天明の飢饉の苛酷さがうかがい知られます。

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大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)〜

【放送予定】2025年1月~

【作】森下佳子

【主演】横浜流星(蔦屋重三郎 役)

【制作統括】藤並英樹 【プロデューサー】石村将太、松田恭典 【演出】大原 拓、深川貴志

【放送予定】[総合]日曜 午後8時00分 / 再放送 翌週土曜 午後1時05分[BS・BSP4K]日曜 午後6時00分 [BSP4K]日曜 午後0時15分