「自分がプロデューサーという肩書きで映画に加わることで、この作品への本気度や覚悟を伝えたいという意思表示でした」

熱い心の監督を支える立場に

『夏の砂の上』は、舞台で何度も上演されてきた作品ですが、映画化は初めてだそうです。僕が演じる主人公は、息子を亡くした喪失感から人生の時間が止まってしまった男性で、妻にも見限られてしまう。

妻役の松たか子さんとは、映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』で共演し、4年前にドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』でもご一緒した、言わば同時代を生き抜いた戦友。久しぶりなのに、会った瞬間、空白がなかったかのように話しやすく、芝居を交わしてもすぐに打ち解け合える、特別な存在です。

今回の松さんの役は、今までのイメージとはまったくベクトルが違う、挑戦的な役柄だと思いますが、同じ空間で演じられることが、すごく楽しかったですね。

僕はこの作品で、主演だけではなく、共同プロデューサーも務めています。脚本を読んだ時点で、これはいい映画になると確信し、自分から名乗りを上げました。自分がプロデューサーという肩書きで映画に加わることで、この作品への本気度や覚悟を伝えたいという意思表示でした。

キャスティングに関してもそうですね。俳優陣に安心して参加してもらいたかったですし、同時に、簡単な気持ちでは参加してほしくないというメッセージでもありました。