背中の丸まりに、大きな差が出た理由
年を重ねることによる脊柱後弯が始まりかけたころは、代償に要する力は大きくないので、背中の丸まり(背中の老い)は目立つほどではありませんし、日常生活に支障をきたすこともありません。
ところが、さらに年を重ねて曲がりが大きくなると、代償に要する力が大きくなり、それに応じる力が衰えていくために支えられなくなり、さらなる脊柱後弯の進行に歯止めをかけられなくなっていきます。
そして、いかにも老人然とした、大きく丸まった背中が形づくられていってしまうのです。
冒頭で触れた寺田さんと佐藤さんの違いについて、話を戻しましょう。
ほぼ同じ年齢のふたりの背中の丸まり具合に、大きな差が出た理由は何か。
それは、脊柱後弯が起こる原因をひも解いていくことによって、ある程度の目星をつけることができます。
加齢以外の脊柱後弯のおもな原因は、
●椎体骨折(通称:圧迫骨折/背骨の一部の骨折)
●椎間板変性(椎間板の水分が失われてクッション機能が低下した状態)
●靱帯骨化症(脊椎の靱帯が骨のように硬くなる状態)
●体幹伸展筋(脊椎を伸ばす際に使用する筋肉)の筋力低下
●伸展可動域(脊椎を曲げ伸ばしできる幅=角度)の減少などです。
とりわけ「椎体骨折」の経験があると、後弯化の度合いが飛躍的に高まることがわかっています。