最近、姿勢が悪いと言われるようになった、歩くとすぐ疲れる、空を見上げるのがつらい…。そんな「小さな変化」を見過ごしていませんか?見た目も、健康も、命さえも左右するのが、実は加齢による【背中の丸まり】です。そのメカニズムと対策法について、年間3,000人以上の患者と向き合っている《背中のプロフェッショナル》である医師の野尻英俊さんがわかりやすく解説した『人は背中から老いていく』より、一部を抜粋して紹介します。
なぜ、あの人はいつも生き生きとして見えるのか?
「右がお隣に住んでいる寺田さん(仮名)です。そして、左が私。見るからに寺田さんのほうが若いですよね。背中もしゃきっとしているし。年はそんなに変わらないのにねぇ……」
丸まってきた背中をなんとかして改善したいという70代女性患者・佐藤さん(仮名)が、1枚のツーショット写真を見せてこう漏らしました。
佐藤さんの背中がお悩みのとおり丸まってきているのに対し、寺田さんの背筋はぴんと伸びています。失礼ながら、寺田さんのほうがお若く見えました。
聞けば、佐藤さんと寺田さんはほぼ同い年。お子さんの年齢も近いこともあり、長年親しくご近所付き合いをしてきた間柄とのこと。
佐藤さんにしてみれば、「年齢も生活環境もさほど変わらず、同じように年をとってきたはずなのになぜ」と思うそうです。
その理由を考える前に、大前提としてお伝えしておきたいことがあります。
それは、「人間は加齢にともない自然に背中が丸まるものであり、背中が丸まれば丸まるほど年老いて見える」ということです。
大なり小なり、遅かれ早かれといった個人差はあるものの、年を重ねると脊柱変形という現象が起こります。
脊柱とは、首から腰にかけて連なる背骨(医学的な正式名称は「脊椎」)全体のこと。
これを柱に見立てて脊柱と呼んでいるのですが、ここが徐々に曲がってくるのです。