丸まった背中が臓器に与える甚大な影響
脊柱後弯が抱えるさまざまなリスクについて、もう少し掘り下げて見ていきましょう。
背中が大きく丸まってくると、運動機能に影響を及ぼすことは容易に想像できると思いますが、じつは内臓とも密接に関わっています。
臓器の機能を低下させたり、停滞させたりするなど、ありとあらゆる健康被害をまねく恐れがあるのです。
代表的なのは、胸部の圧迫による呼吸機能の低下でしょう。
これは、背筋がぴんと伸びているときと、背中が丸まっているときの肺の状態を想像すると、その関係性の深さをすぐ理解できるはずです。いわずもがな、後者のほうが物理的に肺を圧迫することになります。
それによって起こるのが、肺活量の減少です。
脊柱後弯が1秒あたりの肺活量を減らすことは多くの研究によって明らかになっており、これが体力や免疫力の低下をまねいて、感染症などのリスクを高めます。
また、肺炎やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)での死亡リスクが増加することもわかっています。