戦場でできる最大の現実逃避
武田 『ペリリュー』を描くにあたって、主人公の田丸には僕自身を投影しました。田丸は漫画家志望。戦争に興味がないまま戦場に来てしまい、そこでもずっと絵を描いている。現代の読者も、こういう主人公なら物語に入りやすいのではないかと。
今日 私が『cocoon』のあとに描いた『いちご戦争』でも、兵士の絵日記を扱ったんです。『ペリリュー』とつながるものを感じました。
武田 絵を描いていた兵士の話は、よく聞きますよね。日本に限らず、海外の兵士もよく描いていたそう。戦場でできる最大の現実逃避が、絵を描くことなのかもしれません。
今日 フィクションの強さを感じますよね。創ることが生きる糧になっている。
武田 田丸がそういう人物だからこそ、彼の周りには戦争に対する考え、熱量が違う人たちをたくさん登場させました。
今日 『ペリリュー』を読んでいると好きな登場人物ができてくるんですが、すぐに死んでしまうのが悲しくて……。あまり好きな人物を作らないようにしようと思いながら読みました。
武田 それは『cocoon』も一緒ですよ。