「隠れ栄養失調」が熱中症リスクを高める?
ですので、暑さに負けない体をつくるには、栄養の偏りを避けることが不可欠。なかでも女性に多い「隠れ栄養失調」が、熱中症のリスクを高めていることが分かってきました。特に“鉄”がその意味で重要な役割を果たしています。
そもそも女性は月経や妊娠・出産によって鉄を失いやすく、食事からの摂取も不足しがちです。鉄は、酸素を全身に運ぶ“赤血球”の材料であり、不足すると筋肉や脳が酸欠状態に陥ります。
その結果、めまいや疲労感が強くなり、熱中症の初期症状とも混同されやすく、熱中症の発見の遅れにつながります。
また、鉄は、筋肉や臓器がエネルギーを生産するために必要不可欠な物質であり、体温の維持や熱放散のための代謝活動にも直結しています。
それでいて汗にも微量の鉄が含まれるため、夏は意識的な補給が不可欠になるわけです。
筋肉は“熱を生む器官”であり、体温の調整にも欠かせません。食欲が落ちて「冷たい麺だけ」で済ませる日が続くと、たんぱく質が不足し、基礎代謝や免疫力が下がってしまいます。
さらに、たんぱく質が不足すると「鉄の吸収効率」も落ちるため、Wパンチで熱中症リスクが上がります。肉・魚・卵・豆類を毎日意識的に摂るようにしましょう。
汗にはナトリウム(塩分)だけでなく、カリウム・マグネシウム・カルシウムなどの電解質も含まれています。これらが失われると、筋肉のけいれんや手足のしびれ、脱力感を引き起こします。味噌汁、梅干し、ぬか漬け、海藻類などを活用して、自然なミネラル補給を心がけましょう。