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連日のように最高気温を更新している今年の夏。「外に出ていないのに、なんとなく体がだるい」「涼しい室内のなかでめまいが…」そんな経験はありませんか?「実は熱中症の4割近くが家の中で起きていて、特に発生源はある場所に集中している」と話すのが、通常の診察では解決できない体の不調に<栄養学的なアプローチ>を用いた治療と生活指導を行ってきた、総合内科専門医・梶尚志先生です。その梶先生に家の中で熱中症にならないための対策について伺いました。

家の中でも熱中症に?特に危険なのがあの場所で…

熱中症と聞くと「真夏の炎天下」「屋外スポーツ中」などを想像しがちですが、実際には全体の約4割が「室内」で発生しているという調査結果があります。(*)

その中でも見逃されがちなのが、キッチンです。

火を使えば室温は一気に上昇し、湯気によって湿度も高くなります。それでいて、多くの家庭では「冷房が効きにくい」場所でもあります。さらに、長時間の立ち作業や、調理中に水分を摂る機会がないことも影響し、体温調節がうまくいかずに「熱がこもる」状況が生まれてしまうのです。

そして主婦層の方の多くがどうしても「自分のことは後回し」にしがち。「ちょっとの不調なら…」と我慢してしまう傾向があります。

結果として、主婦が出入りするキッチンこそ、家庭の中でもっとも「意識的に熱中症対策を取るべき空間」なのです。

キッチンでの熱中症を防ぐには、「物理的な熱対策」と「自分への意識づけ」がセットで必要です。以下などの工夫が、命を守る大きな一歩になります。

・キッチンに扇風機やサーキュレーターを設置し、空気を循環させる

・冷感タオルやアイスネックリングで、頸部や脇を効率的に冷やす

・「水を1品調理するごとに飲む」など水分補給ルールを決める

・「火を使う前に冷房ON」が鉄則。暑くなってからでは遅い

・ガスではなく電子レンジや電気鍋を併用する“火を使わない調理法”も活用

(*)総務省消防庁資料より引用https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/item/heatstroke003_leaflet.pdf