異性カップル、同性カップルの調査

子育てを主に担当する父親と母親で、扁桃体の活性に類似が見られる。イスラエルのルース・フェルドマン、エヤル・アブラハムらは、異性カップルと同性カップルで脳の反応、オキシトシン、育児行動に関する調査を行った。

41組の異性愛者の生物学的な親(女性が主に育児をしている男女カップル)と代理母出産で子供を得た48組の同性愛者の父親(半数は子供と生物学的な血縁関係があり、全員が主に育児をしている)の自宅を研究者が訪問し、オキシトシンを測定するため唾液サンプルを収集し、「自然な状態」での親子のやり取りをビデオ撮影した。その後、親の脳をfMRIでスキャンし、撮影された被験者自身の親子のやり取りの映像や、親だけの映像、または見知らぬ親子の映像を見せた際の脳の反応を調べた。

(写真提供:Photo AC)

この論文は、親の育児を司る包括的な神経ネットワークの概念を確立する上で重要な役割を果たした。すべての親が、わが子とのやり取りの動画を見ている時、警戒心、顕著性、動機づけ、社会的理解、他者の心を推し測る能力などに関連する脳領域が、ほぼ一貫して活性化していたのだ。

人間の育児は「種のすべての成人に存在する、進化的に古い共同養育の基盤」から進化し、必要に応じて活性化されるのかもしれない。「共同養育システムは動物界全体で観察されており、人間の進化の過程で見られる、父親による育児の極めて高い多様性と柔軟性に寄与した可能性がある」と論文は記している。