資料を調べるなかで浮かび上がるテーマ
今日 『cocoon』も『ペリリュー』もアニメ化されますよね。この夏にNHKで放送されるアニメ版『cocoon』は、スタッフが「令和の若者に届けたい」という思いで立ち上げたプロジェクトだと思います。そのため監督もスタッフも若手が多い。作画や構成も、今の世の中にフィットしたアニメになりました。
武田 12月に公開される劇場版アニメ『ペリリュー』は、11巻ある漫画を2時間の映画に収めるのがとにかく大変で。最終的に、僕が脚本を書きました。
「このシーンもカットしなければならないのか」というつらさはありましたが、小中学生が初めて戦争に触れるきっかけになればと思います。もともと自分が描きたくて始めた連載ですが、描くからには次世代に届けたい。
今日 『ペリリュー』は、ついに外伝も完結しましたね。
武田 10年間、この漫画のことだけを考えてきましたが、これで終わり。ただ、調べものは終わりがないんですよ。
今日 まさに沼。(笑)
武田 ペリリュー島の外側へと調べものが広がっていき、自分の興味も尽きなくて。今も調べものは続けています。
今日 私はふんわりした叙情系の漫画でデビューしたので、戦争ものを描くなんて当時のプランにはまったくありませんでした。ただ、あの頃の作風のままだったら3作くらいで消えていたんじゃないかと思います。
毎回資料を調べ、作品にしっかり向き合い、「ここを描き逃したんじゃないか」と反省しながら描き進める。戦争を描くことで、作家として一段深いところに連れていってもらえました。武田さんは、次回作の題材は決まっていますか?
武田 まだ何も決まっていませんが、僕も沖縄戦を描きたい気持ちもあって。自分なりの切り口を見つけようと、取材を重ねているところです。
今日 ひめゆり学徒隊を題材にした作品は多くありますが、少年兵部隊の鉄血勤皇隊を扱ったものは少ないですよね。そういう作品をぜひ読んでみたいです。
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