太田 最期までの準備とは?
吉永 日本尊厳死協会の「リビング・ウイル」を作成し、いつも持ち歩いています。ただ、入院や手術の時って同意書に家族のサインが必要だから、子どもにお願いしなきゃいけないでしょ。私はそれが納得できなくて。だって、子どもが遠方にいるとか、親子仲が悪くて頼めないケースもあるじゃない?
太田 友人や知人のサインでもいいという病院もありますが、ごく少数ですからね。ただ最近、身元を保証する代行サービスも出てきているんですよ。
吉永 でも、手続きが面倒くさそう……。それならば、子どもに頼むのが安心だしラクだと思っちゃう。
太田 私も子どもが独立し、ひとり暮らしをしているのですが、盲腸で入院した時に同じことを痛感しました。病院から子どもたちに連絡がいき、彼らが飛んできて入院の手続きをし、手術の時は仕事も休んでくれた。
結局、何かあった時は子どもの手を煩わせてしまうことになるんですよね。だから、意固地に「世話にはならない」と突っぱねないほうがいいと、親御さんたちにはお伝えしたいですね。
吉永 私の言う「世話にならない」は、子に依存してはいけないという意味合い。たとえば私が要介護になっても、面倒をみてもらおうとは一切思っていないけれど、入院同意書のサインぐらいはしてくれよ、と思うもの(笑)。私だって、子どもが本当に困っていたら全力で助けますよ。