反対に、やっておいてよかったと思うのは生前整理です。これは母からの提案でした。母が骨折して自宅で療養していた頃のことでしたが、もしかしたら先が長くないと感じていたのかもしれませんね。
当時、母は車椅子で生活していたものの、頭はしっかりしていました。洋服やバッグに始まり、食器やキッチン用品、細かな化粧品にいたるまで。一つひとつ、母の目の前に置いて「これはいる? いらない?」と確認し、半年かけて家の中のすべてのモノを整理整頓したんです。そのおかげで、母が亡くなった後の遺品整理はとてもスムーズでした。
2人で断捨離しながら、「この服は、お母さんが若いときにこういう経緯で買ったの」なんていう思い出話をたくさん聞けたのもよかった。母が使っていたお重やかつお節削りは私が家に持ち帰り、今でも大切に使っています。
ちなみに、兄は遠方に住んでいるので、母の介護や終末期医療に関しては私と弟に「任せる」というスタンス。母の葬儀の喪主を弟が務めてもいいかと尋ねたときも、「もちろん、そうして」とのことだったので、葬儀はすべて弟が仕切りました。
で、私は芸能人らしく(笑)、葬儀の場で川中美幸さんとのデュエット曲を、川中さんと2人で明るく歌って。じつは母が亡くなる少し前、私と川中さんがデュエットしている様子を介護施設のテレビで眺めていたそうなんです。後日、施設のスタッフさんが、私が歌っていることをかろうじて認識していたと教えてくれたの。
その話を川中さんに伝えたら、ありがたいことに葬儀場まで来てくださったんですよ! 母が最後に耳にした私たちの歌で送り出すことができたので、葬儀に関して思い残すことはありません。