(写真提供:Photo AC)
令和の若者<Z世代>について、「会社をすぐ辞める」「タイパ重視」といったイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。世代・トレンド評論家の牛窪恵さんは「実は、メディア発信による既存イメージの多くが、彼らの実像を見えにくくし、『昭和・令和世代』との大きなギャップを生んでいる可能性が、指摘され始めている」と話します。そこで今回は、牛窪さんがZ世代のナゾに迫った著書『Z世代の頭の中』から一部を抜粋してお届けします。

恋愛は「したいのにできない」わけではない

こと恋愛は結婚と違い、「したいのにできない」状況とは言えないのです。

15年、私は当時20代の若者600人に定量調査を実施、並行して集中的にインタビュー調査を行ない、著書『恋愛しない若者たち――コンビニ化する性とコスパ化する結婚』(ディスカヴァー携書)を書きました。おかげさまで7万部弱を売り上げるベストセラーになり、中国をはじめアジア各国でも翻訳版が出版されたのですが、このとき取材した日本の若者たち(おもに、ゆとり世代/現30代前半〜半ば)は、軒並みこう話しました。

それが、「恋愛はコスパが悪い」。「恋愛したいのにできない」より、圧倒的に「恋愛は面倒」で「割に合わない」、だから「あえて手を伸ばさない」との印象だったのです。

すなわち、恋愛にはお金や時間がかかる、自分たちの趣味やコミュニティを犠牲にしなければならないかもしれない、その割には結果が見えない、不確実性が高いとの見方です。

令和の若者・Z世代も、恋愛を少なからず「必需品」とは考えていない様子が、複数の調査結果から分かります。