グラスを持つ越乃リュウさん
写真提供:越乃さん 以下すべて
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第105回は「伝統文化を未来へつなぐ」のお話です。
(写真提供:越乃さん 以下すべて)

前回「ホテルのテレビ画面に映っていたのは…「え? 私?」出演していた側から観た『タカラヅカ・スカイ・ステージ』の魅力」はこちら

伝統文化を未来へつなぐ

「伝統文化を未来へつなぐ」というトークイベントにお声がけいただきました。
伝統文化を振興する「Action!伝統文化」プロジェクトの一環として、伝統文化の素晴らしさと、その魅力を紹介するというものです。

宝塚時代、私は日本物と呼ばれる和の公演が大の苦手でした。
「日本物がきたら退団だ!」
と言っていたほど、着物を着ることも、日本舞踊も、所作や細やかな決まりごとも、どこか窮屈に感じていました。

和より洋だった私に、退団後なぜか次々と日本の文化に触れる機会が訪れました。
スイス日本友好150周年記念行事で国歌斉唱を着物で務めたことをきっかけに、写真のお仕事でお着物の世界に入るようになり、能や歌舞伎や文楽を観るようになり、やがて能楽堂で「源氏物語」を題材にしたリサイタルを開くまでになりました。
太鼓や笛、箏(こと)などの和楽器を取り入れたコンサートもしました。
さらに、ものづくりの職人さんとの出会いも数多くありました。

歳を重ねたからなのか、若い頃には興味も持てず距離を置いていたものが、ふとしたきっかけでおもしろくなるのだから不思議なものです。