投票所の父の後ろ姿を忘れない
牛乳を何パック飲んだのか忘れる父なのに、例えば政治や株価などの時事ネタなどについてはしっかりとわかっていて、認知症になる前と同じように自分の考えを話してくれる。7月の参議院選挙の前には、父がどの党を推しているかやその理由も教えてくれた。投票日の前日、父が私に聞いてきた。
「明日、何時に迎えにきてくれるんだ?」
今夏は北海道も高温が続いているので、私は父を外に連れ出すことに不安があった。
「車の中も陽射しが強くてすごく暑いから、投票に行くのはやめない?」
そう言う私を父はたしなめた。
「選挙権を行使するのは当たり前のことだ」
投票所の体育館の中を、父は普段より大股で進んで行く。背筋を伸ばししっかりと歩く父の後ろ姿を、私は忘れない。
(つづく)
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95歳・男やもめの頑固な父を67歳の一人娘が介護する――
笑えて泣けて、ちょっと切ない…
肩の力が抜ける、失敗だらけだけれど温かい、父と娘の老々介護の話
もしや認知症? プライドが高い父
とうとう父は事故を起こした
父、熱中症で動けなくなる
恐れていた郵便
親たちを介護し、49歳で母は逝った
歩ける父は入院を拒否された
老いは必ずやってくる。
親への失望、ジレンマ、迷い、自責の念――
選択の連続、終わりもわからず、つらく切ない日々でも、日常の小さな喜びを繋ぎ合わせて悔いのないゴールを迎えるための処方箋






