クラシック音楽を楽しむためには?

僕がウィーンのストリートピアノで演奏を始めたのは、2019年のことです。

当時はまだ、街におけるストリートピアノの数も多くなく、YouTubeで演奏動画をアップするような文化も成立していない時代でした。

 

◆ウィーンで体験したストリートピアノの魅力

そのときはお仕事をいただく形でストリートピアノを弾いたのですが、グリュンフェルトの『ウィーンの夜会』を演奏したところ、聴いてくださるみなさんがとても盛り上がってくれて。その反応に圧倒され、「おもしろい!」と思ったのが最初の出合いでした。

今やウィーンではストリートピアノは当たり前のような存在で、中には大道芸人のように仕事として確立させている人がいるくらい。元々ウィーンには「シュペンデ(寄付)」で成り立つ演奏会もあり、入場料は無料でありながら、演奏者はシュペンデを報酬として受けとることができるんです。それだけクラシック音楽が、市民の生活に浸透しているということでもあります。

ストリートピアノの魅力は、ホールで聴く演奏会と異なり、ふらっとその場を歩いている人が偶然音楽に出合うことができるところだと思います。分け隔てなく、誰でも音楽を楽しむことができる、参加できる。

僕は日本人なので、平井康三郎が作曲した幻想曲『さくらさくら』を弾くこともあって、やはりウケのよさを感じます。もちろん、本格的なクラシック作品や、ウィーンの音楽であるワルツなどを弾くと、とてもよろこんでくださる印象ですね。

ストリートピアノは、今や世界中に広がっていますよね。ピアノという楽器自体、たくさんの人が日常的に触れてきた楽器の一つだからというのもあるかもしれません。これからもストリートピアノは続けていきたいですし、そこでいろいろな楽器とセッションしてみたいですね。ヴァイオリンだったり、チェロだったり、トランペットだったり、いろいろな楽器とコラボできたらおもしろいですよね。