一生懸命に頑張って課長に昇進させてもらった

「新たな時代のキャリアウーマンを象徴する総合職は、どんくさくて要領の悪い自分には向いていないと思い、一般職を選んだんです。それに、学生時代は総合職だと婚機を逃すと考えていたので……実際に逃して、今なお独身ですけどね。あっ、はは……」

関西出身で、大学では落語研究会に所属していたせいなのか、取材者が慎重になるような結婚などプライベートな話題も明るく笑い飛ばす。一瞬にして場の雰囲気を照らすような彼女の話し方や表情に助けられた気がした。

「均等法というチャンスをもらったにもかかわらず、なんで4年制大卒で総合職でなく一般職なんだ? という世間の偏見が気になった時もありました。一般職なら、寿退社まで少しでも長く勤めてくれる短大卒を企業が好む時代でしたから。入社後7年間、経理事務の仕事には誇りを持って取り組みました。でも……徐々にもっと自分の能力を発揮してみたい、いずれは指導的地位に就いてみたいと思うようになって、30歳を目前に、上司の勧めもあって総合職への転換試験を受けたんです。総合職入社の人たちと比べるとハンデはありますが……一生懸命に頑張って、やっと課長に昇進させてもらったんです。もう、元来の性格のぼーっとしているところは葬り去って……う、ふふ……前進あるのみですね」

一般職から総合職、さらには課長昇進と、それぞれの節目で周囲からの重圧も感じたことだろう。持ち前の明るさと地道な努力で、キャリアを築いてきたことがわかる。